「今宿タイムズ」をデジタル情報で提供
福岡市西区今宿地区で、「今宿タイムズ」という地域の情報紙が無償配布
されている。
福岡市の「市政だより」および同紙内の区版を更に補う地域の情報紙と
なっている。
発行は「今宿商工業協同組合(今宿商工会内)」となっている。また校区
の自治連合会や社協などが協賛している。
あるとき、視覚障害のある人から以下の様な相談があった。
『現在「今宿タイムズ」を朗読テープで受け取っているが、受け取りは
同紙発行から半月ほど遅れてしまうので、これを出来るだけ早く
受け取れないか・・・』
朗読ボランティアさんがテープへの吹込みやコピーを行っているので、
朗読版が遅れて配布されるのは、ある意味当然である。かといって半月も
遅れていたのでは情報の内容によっては意味がなくなってしまうものもある。
※この情報紙の存在を知ったときは、進んでいる地区だなーと感心した。
地域の人やそこに根ざして事業をしている人、そして行政関連団体などが
関わって、地域のことを考え支援する体制がうかがえたからだ。
実態は知る由もないが、形としては「あるべき姿」のひとつの形だと考える。 |
相談を持ちかけて来た人は、国立福岡視力障害センターに勤務する人で、
パソコン等を利用している環境にあったので、実現のための案として、以下の
策を提案した。
1 発行元に許可を得て、印刷会社から文字情報をフロッピー等で提供して
もらう。
2 当方の運営するパソコン通信ホストを経由して、文字情報を受け取る。
遡ること数年前に、福岡市の「市政だより」や障害者関連団体の発行する
機関紙を情報流通の効率化と情報そのもの有効利用のために、文字情報として
流通させる事を働きかけ、一部実現していた。また視力障害センターにも働き
かけたこともあったが、当時はまったく相手にされてなかった経緯がある。
それらの経験から、印刷所から提供される文字情報では、視覚的に読むに
しても音声で読み上げるにしても、何らかの校正作業が必要になることは
わかっていた。
みんなが協力してる様な地域の姿勢があるのなら、関連するところに働き
かけてネットを通して配信出来る様に試みてみようということで、色々と動き
まわった。
1 発行に関する団体(印刷会社含む)への説明と情報の利用許可をもらう。
2 ネット上に掲載するための校正作業を行ってくれる人を探す。
3 文字情報提供のための設備を貸し出、利用方法などを説明する。
結果、現在以下の様な方法で、ネット上に文字データーとして掲載中。
1 印刷会社より文字データーを提供してもらう。
印刷会社側の協力:
1)印刷のためのデーターをパソコンで使えるデーターに変換する作業
2)変換したデーターを、パソコン通信ネットを通して、校正作業者へ
送る作業。
この作業は、発行日に近い前後日に行われる。
「夢企画」局からの貸し出し品: ネットとの接続のためにモデム1台
2 ネット掲載のための校正と登録作業
印刷会社から送られて来た文字情報をネットから取り出し、パソコンを
使って、視覚的に読みやすい様に、また音声装置で読み上げた時に、
明らかに誤読すると予想できる部分を修正。
(配布されたものを原稿として)
校正作業は、当初朗読を担当していたグループに働きかけたが、グループ
としてはやっていただけないということで、そこに参加されている方が
個人的にやっていただけることになりました。
「夢企画」局からの貸し出し品:
ネット接続のためのモデム・パソコン・プリンター 各1台
以上の連携により、「今宿タイムズ」発行日より、遅くとも2〜3日遅れ
くらいでネット上より文字情報として取り出せるようになりました。すべて
ボランティアで、地域の中で完結しています。
パソコンを使えば直接拡大表示や印刷も出来ます。
文字情報を自動点訳して、校正をしてくれる様な点訳グループがあれば、音声
読み上げでも誤読のない情報が提供出来るし、点字本やピンディスプレイなどでも
有効に利用出来るのですが・・・残念ながら協力していただけるグループは
ありません。
また、相談してきた方も、当初は喜ばれて利用し他の方にも提供していた
らしいのですが、現在その方からの利用はあってない様です。
情報そのものの有効利用としては、継続する価値はあるのですが・・・
1998年9月1日より行動し、「今宿タイムズ 9月25日号」から掲載開始。
現在も掲載を継続。
※この件でネット登録のための作業や「夢企画」局の活動に個人ボランティア
としてご協力いただいている方が、所属する朗読ボランティアグループ内で、
「視覚障害者向けの声のたより」ということで季刊「花時計」なるテープ
製作の取りまとめと編集をされていたので、お礼の意味も含めて、テープを
オーディオCDにして、記念にさしあげてました。
2000年春号からは担当が変わったということで、現在はCD化
してません。これらのCDは、朗読ボランティアの活動紹介の一端として、
視覚障害者向けのイベント等の場で展示&場内で流させていただきました。
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