福岡市の市営住宅に於ける広告掲出等の疑問にある程度理解出来た件の記録
夢企画 2023/1/11
※このページ内にある名称等は処理当時の名称を使用していますのでご注意ください。 地方公共団体が所有あるいは管理する建物では、地方公共団体としての役目や資質が引き継がれていて然るべきものだと思っていた。 よって、市営住宅は市の所有あるいは管理下にあるものであって、個々に貸し与えられた部屋と周辺での一般生活に必要な軽微な状態変更を除き、建物や敷地を含む外観部分は管理する公共団体の様々な規則が適用されるべきものだと思っていた。 そういう意味で、営利目的の広告等に関しても広告の位置や広告内容を含めて公募と審査等の手続きを経た上で掲出に至るのが当然だと思っていたのだが、福岡市ではそんな考えではない様で、この件を通して地方公共団体への疑問が増すと同時にその業務に携わる公務員として根底に持っておくべき基本的な考えの異常さに驚き、ある意味納得した。 このページは事実経過の公表と、異常と思われる状態についての個人的意見を記した内容とする。 ◎公開に至った切っ掛け
2022年12月20日頃、福岡市役所を訪ねた時に広聴課にも立ち寄り、改善のお願いのついでにずっと問題視していた市営住宅内設備への広告掲出についても意見を聞いてみた。
問題の状況写真を見て「広告ですね」との認識はされていたが、次の言葉に驚いた・・・ 「自分は詳しくは分かりませんが、問題が無いから出しているんじゃないですか」という様なご意見。 何ら問題視する様子は見受けられなかった。 2023/1/11 本ページを公開し福岡市広聴課へ通知 |
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問題としている状況 写真は博多区吉塚7の福岡市営六高住宅の敷地内に設置されている屋外掲示板。 通常この掲示板は建物内の住人向け一般的掲示板とは違って厳格に管理されるべき物で、敷地内の住人だけに向けた物ではなく、周辺も含めた地域住人に向けても案内される内容が掲出されるべきだと理解している。 よって掲出される内容も自治体からのお知らせや自治体を通して案内される内容に限られるはずである。 そういう勝手なのかも知れない認識からすると、この掲示板の状態の様に特定の事業者名、それに建物の管理などとは関係のない事業内容、そして電話番号が記されている状態は極めて異常な状態としか思えない。 この市営住宅は3棟構成となっており、掲示板も各棟にあるのだが、全て同じ様な状態となっている。 一見するとこの事業者の社宅とも思える様な状態であるが、それが狙いなのかも知れない。 |
2018/7/6 問題の事業者である博多花壇のサイトの問合せページから、この掲示板への広告掲出の経緯について訊ねる内容を送っているが、回答等は一切ない。 |
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この広告に関する不具合と思われる内容については・・・ 2018/6/18 福岡市住宅管理課に問合せ(掲示板・自治会・広告物に関して) 2018/6/22 福岡市広聴課へ報告(広告物・自治会問題として) 福岡市住宅管理課へ問い合わせた結果・・・ 2018/7/6 福岡市住宅管理課からの回答 「市営住宅内に設置する掲示板の管理につきましては,住民で組織する自治会が行っており,掲示する内容や期間等につきましては,自治会においてそれぞれ個別に判断することとしております。 頂いたご意見につきましては,管理する自治会へ伝えております。 本市におきましても,自治会とともに住宅内掲示板の管理のありかたについて検討してまいります。」 ※回答から本ページ公開時点で何らの変化も無い。 |
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福岡市住宅管理課から「自治会に任せている」との回答を受けて、以下の部署へ意見と問合せを行う。 2018/ 7/ 7 博多区地域支援課へ報告(自治会の在り方として) 2018/ 7/17 広聴課・住宅管理課へ自治会と博多花壇について意見と問合せ 2020/10/21 福岡市都市景観室へ屋外広告物としての判断を仰ぐ その他、国土交通省及び行政評価局へ問合せを行う。 |
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さて面白いのはここからになる。 冒頭の「問題ないから掲出しているのではないですか」との広聴課での言葉、そして住宅管理課からの回答にある「掲示する内容や期間等につきましては,自治会においてそれぞれ個別に判断することとしております」という内容。 福岡市の市営住宅条例に以下の様な内容が記されている。 (指定管理者による管理) 第68条 市長は、市営住宅及び共同施設(以下「市営住宅等」という。)の管理を地方自治法第244条の2第3項に規定する指定管理者(以下「指定管理者」という。)に行わせることができる。 2 指定管理者が行う市営住宅等の管理に関する業務は、次に掲げるとおりとする。 (1) 第7条に規定する入居者の公募に関する業務 (2) 第12条に規定する入居の手続及び第41条第1項に規定する退去の手続に関する業務 (3) 第19条に規定する家賃の納付に係る手続に関する業務 (4) 市営住宅等の維持及び修繕に関する業務 (5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める業務 (指定管理者の指定) 第69条 市長は、市営住宅等の管理を指定管理者に行わせようとするときは、規則で定めるところにより、指定管理者の指定を受けようとする者を公募するものとする。ただし、市営住宅等の管理上緊急に指定管理者を指定する必要がある場合その他特別な事情があると市長が認める場合は、この限りでない。 3 市長は、前項の規定による申請があったときは、次に掲げる基準により最も適切な管理を行うことができると認める者を指定管理者に指定するものとする。 (1) 市民の正当かつ公平な利用を確保することができるものであること。 (2) 市営住宅等の効用を十分に発揮させるとともに、その管理に要する経費の縮減が図られるものであること。 (3) 市営住宅等の管理をするために必要な経済的基礎及びこれを的確に遂行するために必要なその他の能力が十分であること。 (4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める基準 (平成17条例40・追加) ※ここでいう「指定管理者」は概ね住宅供給公社等の俗に云うxx団体と称されることもある市の外郭団体となっている様だが・・・「市民の正当かつ公平な利用を確保することができるもの」との一文を覚えておいていただきたい。 「住人」ではなく「市民」となっている事に着目していただいて。 |
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続いて・・・ 第6章 補則 (市営住宅監理員) 第77条 市営住宅及び共同施設の管理に関する事務をつかさどり、市営住宅及びその環境を良好な状況に維持するよう入居者に必要な指導を与えるため、市営住宅監理員を置く。 2 市営住宅監理員は、市長が市職員のうちから任命する。 (市営住宅管理人) 第78条 市長は、市営住宅監理員の職務を補助させるため、市営住宅管理人を置くことができる。 2 市営住宅管理人は、市長が入居者(入居予定者を含む。)のうちから任命する。 3 市営住宅管理人は、市営住宅監理員の指揮を受けて、入居者との連絡事務を行う。 4 前3項に規定するもののほか、市営住宅管理人に関し必要な事項は、規則で定める。 (立入検査) 第79条 市長は、市営住宅の管理上必要があると認めるときは、市営住宅監理員又は市長が指定した者に市営住宅の検査をさせ、又は入居者に対して適当な指示をさせることができる。 2 前項の規定により入居者が現に使用している市営住宅に立ち入るときは、あらかじめ当該入居者の承諾を受けなければならない。 3 第1項の規定により検査に当たる者は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。 ◎細かな事はこの際どうでも良いが・・・つまり 福岡市 ↓ 指定管理者 ↓ 市営住宅監理員(市の職員) ↓ 市営住宅管理人(入居者)を置く事が出来る ・・・という事らしい。 そして自治会というのは、市営住宅監理員か市営住宅管理人の監督下にあるのか、はたまた別組織として在るのかどうかは不明だが、一応市営住宅を管理監督するべき人員が定められているという事が分かった。 そして過去の処理と照らし合わせると、興味深い一致があった。 |
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左の写真は東区馬出にある市営馬出住宅の棟内で、「博多かだん」を案内するプレートが複数貼られている。 「馬出住宅管理委員会指定」と記されており、プレート自体も「博多かだん」が作成し貼っている様に見受けられる。 建物の管理なのか何の為の連絡先なのかは不明。 この「馬出住宅管理委員会」というのが「自治会」にあたるのだろうか? とにかく馬出住宅内の何らかの組織が「博多かだん」への連絡を促している。 少なくとも市の公募などを経て掲出に至っている訳ではない事は確かな様だ。 |
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2015年4月の市議選時に、問題の市営六高住宅内に貼り出されていた気色悪いポスター群。 棟内の簡易掲示板に1枚貼ってあったとかの生易しい状態ではなく、通路脇のベンチにびっしりと連続貼り。 最初に見た時は気色悪くて仕方なかった。 恐らく住人の中にも不快に思われた方が少なからずいたのではないだろうか。 発見後、市選管への2度に渡る通報で全て撤去されていたが・・・ 広聴課の言葉からすると、これも「問題ないから掲出している」ということになる。 そして住宅管理課の言葉からすれば、「自治会が管理している」という事になる。 市営住宅監理員や市営住宅管理人は何の判断もしないという事の様だ。 |
2013年に処理 2014年に処理 |
左の写真は東区の市営馬出住宅敷地内に、恐らく2013年以前から設置されていたと思われる「後援会連絡所」の政治看板。 同じくその下の写真は2014年に設置されていた「後援会連絡所」の政治看板。 何れも選挙管理委員会等へ通報後に撤去されている。 こちらも・・・ 広聴課の言葉からすると、「問題ないから掲出している」ということになる。 そして住宅管理課の言葉からすれば、「自治会が管理している」という事になる。 市営住宅監理員や市営住宅管理人は何の判断もしない。 |
2015年に処理 |
2014年に処理して撤去されていた「おちいし俊則」「佐々木とおる」の政治看板が、2015年に東区の市営馬出浜松住宅(現:市営馬出四丁目住宅)に設置された。 恐らく2014年に撤去された看板がそのまま移動したのではないかと思われる。 住宅管理課・都市景観室・選挙管理委員会へ通報後に撤去されている。 こちらも・・・ 広聴課の言葉からすると、「問題ないから掲出している」ということになる。 そして住宅管理課の言葉からすれば、「自治会が管理している」という事になる。 市営住宅監理員や市営住宅管理人は何の判断もしない。 問題視したのは、選挙管理委員会だけ。 |
これらの政治看板等については、各候補者やその事務所に問題があると思っていたのだが、よく考えてみるとこれらの政治看板は「博多花壇(かだん)」が関わっている市営住宅に設置されている様に思える。(※市営馬出浜松住宅との関係は未確認) 多くを確認した訳ではないが、吉塚・馬出・筥松・堅粕・千代等の市営住宅を何度も見てきていて、この様な看板が設置された状態を目にしたことは無いし、自治会として特定の事業者の広告を掲出している様な状態を目にした記憶もない。 六高住宅敷地内には人権のまちづくり館があり、先の気色悪いポスターが貼られていた時に、この状況について尋ねてみたが全く関心が無い様で、問題視する事も無かった。 また馬出住宅に於いても、落石・佐々木の政治看板が設置されていた場所の直ぐ近くに人権のまちづくり館があったので、同様にいつ頃から設置されていたかなどを尋ねてみたが設置の認識も無く、問題視する様な言葉も無かった。 人権のまちづくり館は一応自治体とある程度の関係がある組織というか部署というかだが、公民館以上に地域や社会への関心が無い事がよくわかる。 何のために存在しているのやら・・・。 因みにこの「博多かだん」という事業者は、2018年時点では「(財)福岡市職員厚生会協力指定店」となっている。 個人的意見として、どちらの団体もまともじゃない。 結論として・・・ 福岡市が管理する市営住宅では、公募によらない営利事業の広告掲出や政治活動への参加など公共団体としては一般的に禁止されるべき内容についても、自治会は市の建物や敷地等の資源を許可無く自由に利用出来るということらしい。 そしてその事は指定管理者に課せられている「市民の正当かつ公平な利用を確保することができる」という内容には抵触しないとの判断らしい。 素晴らしい! まさに自治が保障されている。 |
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住宅管理課による郷口公園 東区管理の郷口公園 |
市営住宅ついでの余談 東区の市営米田住宅の建て替え時に、元の住居棟部分が公園になったのだが・・・ 福岡市の住宅管理課の管理の下で「郷口公園」という名称が付けられている。 この場所はこの時点で「郷口」という地名ではない。 更に「郷口公園」は少し離れた場所に東区の管理で既に存在している。 民間の管理する場所なら大きな問題にはならないかも知れないが、自治体が管理する公の場所を示す名称の重複は、特別の事情が無い限り避けなければならないのは、規則だ何だの問題ではなく最低限の常識。 緊急時に於ける場所等の伝達時に混乱を招く要素があってはならないからだ。 この公園名称も幾つかの決裁を経て決まっているはず・・・ つまり不具合の確認作業や問題視する、あるいは問題視出来る人物が一人もいなかったということ。 広聴課の言葉通りなら、「問題ないからそうなっている」ということで、部署が違えば組織内では問題無いのかも知れないが、社会の基盤を担っている自治体組織としてはあまりにもお粗末過ぎる処理で、全体を考える事も無く仕事をしているという感じがうかがえる。 2012/04/10に福岡市役所総務課へ連絡し、その後名称は変更されているが・・・。 |